冨安由真Yuma Tomiyasu
おとずれるもの
小学校の放送室と視聴覚室を展示会場として、
サウンドと映像、照明の演出を組み合わせたインスタレーション作品。
沖縄には「まれびと信仰」があり、海の彼方にある異界「ニライ・カナイ」から来る神が
豊穣と幸福をもたらすと信じられている。
展示会場である旧塩屋小学校が位置する塩屋湾では、
ウンガミと呼ばれる民俗行事が行われており、
毎年旧盆明けの初亥の日に、ニライ・カナイから来訪する神を迎え、豊穣を祈る祭りが執り行われる。
この作品では、ウンガミの祭りで使用される小太鼓(パーランクー)の音、
祈願が行われる場の一つである兼久浜の海を空撮した映像、
ウンガミの儀礼「御願バーリー」(塩屋湾で行われる舟の競漕)の掛け声を録音した音声などを組み合わせ、
照明の演出を加えながら、多層的な鑑賞体験を創造している。
展示会場
大宜味村立旧塩屋小学校 沖縄県国頭郡大宜味村塩屋538
ARTIST
撮影:松尾宇人
冨安由真《Making All Things Equal》2019
冨安由真 Yuma Tomiyasu
現代美術作家。心霊や超常現象、夢など不可視なものや科学では解明されていない事象を手掛かりに、現実と非現実の境目を探る作品を制作する。特に近作では、視点の重なりや次元の行き来を観客に意識させるような大型の体験型インスタレーションを、絵画や立体、映像、サウンド、VR、演劇的演出など様々なメディアを駆使しながら表現する。
主な展覧会歴に個展「影にのぞむ」(原爆の図丸木美術館/2023年)、「瀬戸内国際芸術祭2022」(豊島/2022年)、個展「アペルト15 冨安由真 The Pale Horse」(金沢21世紀美術館/2021-22年)、個展「漂泊する幻影」(KAAT神奈川芸術劇場/2021年)など。主な受賞歴に「TERRADA ART AWARD 2023」金島隆弘賞受賞(2024年)、第21回岡本太郎現代芸術賞 特別賞受賞(2018年)、第12回shiseido art egg入選(2018年)など。