津田道子Michiko Tsuda
泡盛ラプソディ
最近気になっていることのひとつに、人が自然と集まることがあります。
そういう場は、身体があり、それぞれの存在が等価で、創造性と関係があると思うからです。
沖縄を代表する蒸留酒と言われる泡盛は、
600年前に南方から伝来し、長い時間熟成するほど旨味が増しておいしくなります。
戦時下にそれまでのほとんどのクース(3年以上熟成した泡盛)がなくなってしまったことを思うと、
泡盛を寝かせられることは平和の証でもあります。
沖縄の多くの家には長年眠っているクースがあり、
その背景を辿ると持ち主の生活や人生のイベント、
その先には泡盛が等価に人をつなげてきた軌跡が見えてくる気がします。
《泡盛ラプソディ》は、音楽のかたちはしていませんが、
形式が定まらないラプソディのようなそれらの叙事を起点にしたインスタレーション作品です。
泡盛を通した、時間の流れ、味覚、空気、出来事などを経験し、それらと向き合う空間を提示します。
展示会場
大宜味村立旧塩屋小学校 沖縄県国頭郡大宜味村塩屋538
ARTIST
撮影:奥祐司
津田道子 Michiko Tsuda
インスタレーション、映像、パフォーマンスなど多様な形態で、鑑賞者の視線と動作によって不可視の存在を示唆する作品を制作。
2021年よりランニングを始め、アートとランニングの新たな接点を探り、実践する取り組み「and run」として独自のルートを参加者とめぐる
レクチャー・パフォーマンスのようなランニング・イベントを各地で行っている。
2013年東京芸術大学大学院映像研究科で博士号を取得。2019年にACCのグランティとしてニューヨークに滞在。
2021年より金沢美術工芸大学准教授。Tokyo Contemporary Art Award 2022-2024受賞。