五風十雨gofujuu
八重山之嘉例 池村鍛冶屋のクロガニ
石垣市に所在する池村鍛冶屋は、八重山に唯一残る島の鍛冶屋です。三代目の池村泰欣は、車の板バネや砲弾の破片などの鉄素材を用いて道具を作ります。その姿からは、たくましい野生の思考が垣間見られ、廃品に新しい命を吹き込む様子は、かつて鍛冶屋が呪術師に近い存在だったことを思い起こさせます。工房の壁には、サンプルや型紙、雛形が膨大に掛けられており、これは、植生や用途に特化した道具をセミオーダーメイドで作るためです。池村が作り出した道具を見ると、八重山の固有の風土が浮かび上がってきます。また、彼が作る道具でなければ実現できないものも存在します。しかし、現代の経済原理の中で村の鍛冶屋が減少しているのは明らかです。
本展では、八重山の鍛冶屋をめぐる「ときのあわい」を感じながら、人と道具の関わりについて思いをはせていただければと思います。
展示会場
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大宜味村立旧塩屋小学校 沖縄県国頭郡大宜味村塩屋538
ARTIST
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五風十雨 gofujuu
やんばると同じく豊かな自然と文化をもつ八重山における創作や美術工芸を紐解くユニット。
「五風十雨」とは、八重山諸島の豊年祭などに登場する旗頭に描かれる奉納文字。五日ごとに風が吹き、十日ごとに雨が降る天候が豊作によいと言われる。
メンバーは、窯業史・考古学を専門とする畑中英二(京都市立芸術大学 教授)、やんばるアートフェスティバル・エキシビション部門ディレクターの金島隆弘(金沢美術工芸大学 准教授)、やんばるアートフェスティバル・総合ディレクターの仲程長治(写真家・アーティスト)、沖縄を中心に様々なプロジェクトを手掛ける松島由布子(編集家・プロデューサー)の4名。