中澤ふくみFukumi Nakazawa
人と道具の相互形成
本作は、沖縄における
「人間と道具」の関係性を
モチーフに制作を行います。
沖縄は日本の中でも独自の文化を発展させてきた地域であり、
そこで生まれた道具は、どのように人々と関わり、
またどのように形状が変化してきたのかを考えます。
事前に集めた資料と現地でのリサーチを基に、
スケッチを通じて視覚化し、
記録として残します。
近代テクノロジーの発展などにより、
多くの民具はその役割を失い、
道具と人との相互作用も
変化してきていると感じます。
こうした「離れつつある人と道具の距離」を
強制的に縮めるように、
道具と人が溶け合った新たな人間像を描きます。
また、民具は日常的に繰り返し使用されることから、
今回は短く繰り返すアニメーション映像を教室内に投影し、
和紙に描いたアニメーションの原画を全てのりで貼り合わせたものを、
「物質的身体」として展示します。
展示会場
大宜味村立旧塩屋小学校 沖縄県国頭郡大宜味村塩屋538
ARTIST
中澤ふくみ Fukumi Nakazawa
1996年高知県生まれ。2019年、京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)油画コース卒業。
2020年、エストニア芸術アカデミー修士課程アニメーションコース入学。
<人間の身体と道具>の関係性に着目し、その境界を探るようなアニメーションやドローイング作品を制作している。
近年は複数の映画祭に参加し、映像がシネマや展示空間で異なるイメージを生むことに関心を持つようになる。
和紙に墨で描いたアニメーションの原画は、糊で固められた「物質的な身体」として質量と時間を有し、
投影される映像は「見せる」のではなく「見えている」状態の「身体的記憶」として同じ空間に展示する。