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西野達|Tatzu Nishi

忘れようたって 忘れられない

現在は廃屋となっているこの建物は去年まで「ひかり医院」として開業され、それ以前は「共同売店」として町の全ての人々にとってなくてはならないものでした。この建物では数々の物語が生まれたに違いありません。私はそのような町の人の思い出が詰まったこの建物をモニュメント化することを考えました。

思い出はおぼろげな記憶の中だけに生きています。時が過ぎるとともに曖昧になってゆく思い出を、私は建物の細部を同じように曖昧にすることで表現しようと考えました。細部を認識できない外観を持つこの建物は、詳細な記憶が失われてやがて純朴なイメージとしてだけ残る思い出を形にしたものなのです。

会場
辺土名商店街 ひかり医院跡

1960年名古屋生まれ。武蔵野美術大学を修了後、1987年にドイツに渡る。1997年からヨーロッパで屋外を舞台にした作品の発表を始める。

屋外のモニュメントや街灯などを取り込んで部屋を建築し、リビングルームとして公開、あるいは実際にホテルとして営業するなど、公共空間を舞台とした人々を巻き込む大胆で冒険的なプロジェクトで知られる。現在は東京とベルリンを拠点に活動。シンガポールのマーライオンを使ったホテルプロジェクト「The Merlion Hotel」(2011年)、NYマンハッタンのコロンブスのモニュメントを使用したプロジェクト「Discovering Columbus」(2012年)など。日本では、愛知県美術館での「愉しき家」展、銀座エルメスでの「天上のシェリー」(共に2006年)、「西野達 in 別府」(2017年)など。